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米軍訓練NLP等について質問しました

米軍夜間連続離着陸訓練(NLP)が大きな問題になっています。
斎藤つよしは、10月に政府に対して文書で質問をしました。やっと遅れて答弁書がきましたので、あわせて報告します。

 

質問第4号 

米軍夜間連続離着陸訓練及び相模総合補給廠におけ衛生演習に関する質問主意書


右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出す

 平成十二年十月六日

参議院議員   齋藤  勁

参議院議長 斎藤十朗殿 


 米軍夜間連続離着陸訓練及び相模総合補給廠における衛生演習に関する質問主意書

一 米軍夜間連続離着陸訓練について

 平成十二年九月五日から八日まで及び同九月十八日から二十日までの計七日間にわたり米軍厚木基地(大和市、綾瀬市)を利用して夜間連続離着陸訓練(以下「NLP」という。)が行われた。今回の訓練は、騒音被害が従来にも増して激しく、この間、住民からの苦情は七百二十八件にも上った。米軍に理解を示す住民からも多くの怒りの声が寄せられている。このNLPについて、岡崎洋神奈川県知事が九月二十九日に在日米海軍厚木基地の周辺七市と共に抗議し、硫黄島での全面実施を求める首長連名の要請文を政府と米軍側に提出した。

 さらに九月二十一日、土屋侯保大和市長は米軍との「友好関係の断絶」を宣言し、十月三日「今回のNLPは我慢の限界を超えるものだった」と米軍司令官に直接抗議している。
厚木基地における航空機騒音は昭和四十八年の空母ミッドウェーの母港化により激化の一途をたどり、紆余曲折の後、国は平成元年一月に、「厚木飛行場の騒音軽減を図るため、同飛行場の代替施設を三宅島に設置するまでの暫定措置として硫黄島で艦載機着陸訓練を実施することについて、防衛施設庁と在日米軍司令部との間で基本的了解に達した」と発表し、硫黄島代替訓練施設は建設費百六十七億円を投じて、平成五年に米側に全面供与された。以後、硫黄島において多くの訓練が行われているものの、なお厚木基地騒音対策協議会を中心に、国及び米軍にNLPの全面移転を要請しているところである。今回の厚木基地における訓練は、こうした経緯の中で行われている。

 この経緯をみると、もはや厚木基地周辺住民への騒音被害は極限まで達している。今回のような訓練は今後行われるべきでないし、もし再度行われるならば、両国間の安全保障の維持及び友好関係に大きく影響を及ぼすことになりかねないと危惧するものである。また、最近の三宅島の噴火に伴ない、島の再建と併せて同島での代替施設建設が政府内部でどのように考えられているのか、明確にすべきと考える。

 このような立場から、次の点について質問する。

  1. 基地周辺住民の抗議の声を受けて、今回の事態を政府はどのように認識しているか。
    また、周辺住民の騒音被害について、やむを得ないものとの認識なのか。
  2. 訓練は硫黄島での全面実施を基本にすべきと考えるがどうか。
  3. 飛行場の代替施設を三宅島に設置する案について、政府はどのように検討しているのか。
  4. 米軍に対し、厚木基地におけるNLP中止を申し入れるべきと考えるがどうか。

二 相模総合補給廠における衛生演習について

 本年八月二十七日から一週間にわたり、相模総合補給廠において米軍による衛生演習(以下「メデックス二〇〇〇」という。)が実施された。この補給廠については、市民の要望として長年返還運動を展開し、今年度からその跡地利用構想策定を市民総ぐるみで進めているところである。補給廠においてこのような演習が再び実施されることは、基地返還の取組への支障となるものと危惧されるものである。また、この訓練は化学戦を想定した訓練だったと考えられるが、補給廠に野戦病院が設置された場合、周辺住民への危険性は増すと考えられる。

 相模原市議会は九月二十八日に議会決議を行い、今後同様の訓練が実施されることのないよう要望書を内閣と米軍に対して提出している。こうした状況を踏えて、以下質問する。

  1. メデックス二〇〇〇について、政府はどのような訓練であると認識しているか。
  2. 自治体の意見を踏え、米軍に対して今後同様の訓練を行わないよう申し入れるべきと考えるがどうか。
     右質問する。

答  弁  書

内閣参質150第4号

平成一二年一〇月三一日

内閣総理大臣    森 喜 朗 

 参議院議長 井上 裕 殿

参議院議員 斎藤勁君提出

米軍夜間連続離着陸訓練及び相模総合補給廠における衛生演習に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



 参議院議員 斎藤勁君提出 米軍夜間連続離着陸訓練及び相模総合補給廠における衛生演習に関する質問に対する答弁書

一の1,2及び4について

 政府としては、米空母艦載機夜間着陸訓練(以下「NLP」という。)は、空母艦載機のパイロットの練度の維持及び向上、ひいては日米安保体制の効果的運用のために欠くべからざるものと理解している。また、硫黄島が本土から遠距離にあることによる即応体制への 影響、同島における悪天候等の理由から、NLPの一部を厚木飛行場等の本土の各飛行場で実施せざるを得ない場合もあると承知している。
 しかしながら、政府としては、平成一二年九月五日から八日までの間及び同月一八日から二〇日までの間に厚木飛行場において行われたNLPについて周辺住民等から多くの苦情等が寄せられていること等から、騒音の影響については十分に認識しており、今後とも、騒音の影響をできる限り軽減するため、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(昭和四九年法律台一〇一号)等に基づく航空機騒音対策事業の推進を図ると共に、米側に対し、できる限り多くのNLPを硫黄島に於いて実施するよう申し入れてまいりたい。

一の3について

 三宅島は、厚木飛行場から約一五〇キロメートルと比較的近距離に位置し、航空機の旋回コースを海上に設定することにより騒音の影響を最小限に抑えられること等から、政府としては、同島をNLPを行うための代替訓練場の適地と判断し、地元の理解を得られるよう努力を続けてきたところであるが、いまだ理解を得られていない。

 三宅島にNLPを行うための代替訓練場を設置することについては、同島は現在、活発な火山活動の影響から全島民が島外へ避難している状況にあり、火山活動の状況等を見守っているところであるが、同島は、代替訓練場の設置場所として立地条件が優れているところから、今後とも地元の理解が得られるよう努力していく考えである。

二について

 平成一二年八月二七日から同年九月二日までの間に相模補給廠で行われた医療演習においては、太平洋地区における不測の事態、災害及び人道的救助に係る活動を支援しうる野戦病院の運用の訓練並びにその評価が行われたものと承知している。
 政府としては、同演習は、アメリカ合衆国軍隊(以下「米軍」という。)が、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三五年条約第六号)の目的を達するため、部隊の練度の維持及び向上を図り、即応体制を整えておくとの観点から行う必要な訓練の一環であると認識している。
 他方、米軍が訓練等の活動を行うにあたり、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払うべきことは当然であり、このことは、政府としても、米側に対して申し入れている。

 ご覧のような答弁でした。国会法の規定によると質問書を受け取ってから7日で答弁しなければいけないのですが、回答期限はほとんど役所の都合で空文化しています。

 今回もだいぶ遅れて10月31日になってしまいましたが、待った割りには内容の乏しい答弁で失望しました。

 NLPについては、住民の被害が深刻化し、自治体から強い中止の要望があるにもかかわらず、この答弁では米軍に厳しく要求していくという気持ちが読みとれません。

 三宅島に理解をしてもらうという点については、三宅島の皆さんからこの時期にそういう答弁をするのは災害に乗ずるものだという厳しい反応があらわれました。

 メデックスについては、ふみこんだ説明を避けています。今回の形式では残念ながら十分にくいこんだやりとりにはなっていません。引き続き、追及してまいります。