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関係各位
(報道各社、民主党本部、神奈川県・沖縄県担当部局)

斉藤つよし (民主党参議院議員)2001年7月23日

欺瞞と無責任の政府答弁
日米地位協定改定に関する政府答弁書へのコメント

■参考資料
朝日新聞毎日新聞読売新聞神奈川新聞
 本年6月26日に私が提出した「日米地位協定改定に関する質問主書」に対する政府答弁書が送付されてきた。国会法の規定による7日間の答弁期限を大幅に遅れての答弁は、当然にも6月29日未明に起こった沖縄北谷(ちゃたん)町の女性暴行事件をきっかけとした「日米地位協定を改定すべきだ」という世論のもり上がりを受けての内容になるものと期待されていた。沖縄県議会はじめ多くの自治体議会の決議があがり、衆議院外務委員会での決議があがるなど、従来とは違う状況もあったからだ。

 しかし、本日の閣議決定で送付されてきた政府答弁書は、従来の政府見解を一歩も出ず、現状を改善していこうという意思はみられない。

  1. 私の質問の一点目の、現在の「運用改善のための交渉」の経過と内容については、答弁がなかった。行われていないのだろうか。あいかわらずの官僚主義と秘密主義である。
     交渉内容を明らかにすることが、日本国民の利害にとって問題があるとでもいうのだろうか。あるいは、そのことが米国との信義をゆるがせるとでもいうのだろうか。
     唯一答弁でふれている5月15日以降の「刑事裁判手続きに関する協議」が、今回の米兵暴行事件に際しての被疑者逮捕にどのように関係しているのかは、ぜひ明らかにすべき内容である。政府が「地位協定の改定要求」ではなく、「運用の改善」と言っている以上、どのような交渉をしているかを明らかにするのは、当然ではないか。
  2. 私の質問の二点目の1から8までの各項目については、すべてもう解決ずみであるか、またはもともと問題として感じていないという答弁をしている。本当にこれでよいのか。
     1 基地提供のとりきめの点検と自治体の意見聴取
       (答弁)すでに自治体の要望を勘案している。
     2 米軍施設への日本法令の適用と自治体関係者の立ち入りへの協力
       (答弁)日本法令は不適用であり、自治体の立ち入りはすでに実現
     3 環境保全条項の新設、環境被害の原状回復
       (答弁)米軍はすでに厳格な環境管理行動をとっている。
     4 民間空港の使用禁止、移動名目の飛行訓練禁止
       (答弁)米軍の行動はきわめて重要。飛行訓練は駐留を認めていることの前提。
     5 演習・訓練への日本国法令の適用
       (答弁)交通関係の法令は米軍に適用している。
     6 凶悪犯罪の場合、起訴前でも被疑者拘禁を。
       (答弁)起訴前の身柄引渡しの前例2件あり。
     7 合衆国軍隊の構成員の不法行為による被害に日本政府から見舞金
       (答弁)支給導入済
     8 合同委員会の場で自治体の意見を聴取すること、合意事項は速やかに公表すべき。
       (答弁)自治体の要望は勘案している。
  3. 私の質問の三点目 日米地位協定の改定に関しては、
     「協定に関して機敏に対応していくとの考えのもと、運用の改善に努力」と答弁している。そして、「十分効果的でない場合には改正も視野に入れていくことになる」と、きわめて他人事的で消極的な言い方だ。要するに、現状のままでよいのだということを言っている。現状に対する切迫した危機意識をもたない政府が「効果」を求めるわけはないし、効果的でない場合など、もともとなさそうではないか。

 小泉さん、沖糾県民の必死の抗議がきこえませんか。現状で結構、基地にかかわるさまざまなトラブルを、事故が起こってからまた対処すればよいと考えているのでしょうか。
 この答弁は、このかんの小泉内閣の対米外交の姿を如実に物語っているようです。

 私も、民主党も、沖縄県民と基地に悩むすべての人たちと連帯して、引き続き地位協定の改定を求めていきます。