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参議院選挙後の日本政治・安倍首相辞任後の政局
 
(1)参議院選挙を振り返って
    1. 投票率−亥年・統一選挙と重なる年は地方議員の動きが鈍化するため投票率が下がる。ジンクスが初めて破られた。
      選挙区58.84%(+2.07%) 比例区58.63%(+2.09%) 6回連続で6割を割る過去6番目の低さだが、前回に続き上昇。
    2. 統一選挙の結果
       別添報道資料参照
    3. 参議院選挙結果
      1958年自民党結党以来、第1党転落は初めて。象徴的な一人区の結果
       別添参照
    4. 各党の参議院選挙総括
      自民党選挙総括委員会報告書・別添参照
      公明党全国代表者協議会・別添報道資料
(2)安倍首相続投と党三役及び内閣改造
    1. 投開票日に都内ホテルにて、森元首相・青木参院会長・中川幹事長会談。三者の退陣論に対し、「いかなる選挙結果になろうとも、絶対に首相は続けます。」と首相は言明。
      既に首相は、選挙戦終盤に小泉前首相と会談。さらに開票日当日、三者代表の中川幹事長の前に、官邸で麻生外務大臣と会談。
    2. 日本経団連ほか経済3団体が早々と続投支持。夏休みに首相と東南アジア諸国視察団派遣。
       「政局より改革の継続を」−別添報道資料参照
    3. 改造直後の支持率は僅かに上がるが、改造後1週間でまたもや遠藤農水大臣と坂本政務官は政治とカネの問題で辞任。そのほか後任の若林大臣も含め政治資金報告書あまりにも杜撰な内容での提出自民党議員が続出。
    4. 自民党15県連が安倍首相では総選挙闘えないと答える
       時事通信社の6日から9日にかけての調査結果
(3)有識者の選挙結果に対する主な見解

シンボルから生活への回帰―山口二郎氏
政府の半世紀に国民不信―田中愛治氏
政権選択可能な環境作れ―飯尾潤氏
(以上3氏の見解は、別添報道資料参照)

 

(4)参議院選挙結果と衆議院選挙シミュレーション

自公が完全協力の場合―与党と野党が伯仲
自公協力6割の場合―民主大勝286議席

※ 共産党選挙区候補を新基準で候補者半減―9.8第5回中央委員会総会
別添報道資料参照

 

(5)参議院は衆議院のカーボンコピーから卒業逆転国会07年体制二院制が問われる

1、 憲法で定められた衆参両院の権限
衆議院の優越

第60条 衆議院の予算の先議
予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。2、予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取った後、国会休会中の期間を除いて30日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

第61条 条約の国会承認
条約の締結に必要な国会の承認については、前条第2項の規定を準用する。

第67条 内閣総理大臣の指名
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だってこれを行ふ。衆議院と参議院とが異なった指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
衆参が同等

第59条 法律案の議決
法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

第62条 議院の国政調査権
両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することが出来る。

 参考国会法第12章議院と国民及び官庁との関係。

 別添報道資料参照

 
(6)テロ特措法と安倍首相突然の辞任表明
    1. シドニー(APEC)記者会見にて、「身を賭して取り組む」「職責にしがみつくものではない」発言
    2. 政府対テロ新法提出国会承認を削除
      シビリアンコントロールの議論はいずこへ
    3. 参議院選大敗北後続投宣言し、内閣改造を実施、所信表明を行いしかも代表質問の日に、辞任記者会見とは、前代未聞。
      「小沢代表に党首会談断られたから」が辞める理由とは、あきれるばかり。
 
(7)政権交代は十分可能政権戦略は国・地方一体で誰が首相になっても動じず冷静に対応を

民主党は

  1. 臨時国会で対案攻勢
    政治資金規正法労働契約法案年金保険料流用禁止法案
  2. 市民の声をしっかり受け止めるシステム作り
    社会運動との連携共闘があまりにも希薄すぎる。
    参考国民生活に関する世論調査内閣府発表
  3. 衆議院候補の擁立地方議員の拡大女性議員の拡大地方組織の強化
    県・市・区単位でのきめ細かな政策討議を分権的位置づけで。
  4. 遅れているシンクタンク作り
  5. 情報戦略と法令順守

市民側は

当面参議院を中心とした法案作りに積極的に関与する
小泉・安倍政権下で成立した悪法をチェック
市民が政治家をしっかり使う社会運動とリンクさせる

 
提起者 元参議院議員 斉藤つよし