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再現! 予算委論戦 「真の改革とは何か」
改革の方向めぐり小泉首相と論戦
(5月30日 参議院予算委員会)
斉藤つよしは、小泉総理大臣はじめ各閣僚に対して、5月30日の午前90分、午後30分質問しました。ニュースでは、靖国問題の部分だけが報道されたよう
ですが、全体像を再現します。 |
論点1 最大の債権国・日本が、なぜ最大の債務国アメリカに富が吸い上げられるのか
- 齋藤勁君 日米関係に関して伺います。
きょうの報道ですと、訪米日程が決まったということですが、内容的な点につきましても明らかにしていただけますか。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) 六月三十日にブッシュ大統領と会談する予定で今準備を進めております。
- 齋藤勁君 とりわけ我が国の景気回復、経済が非常にまだまだ深刻な状況、なかなか脱出し切れないということであります。このことでアメリカ経済と日本経済、言ってみれば構造的にリンクしている部分はないんだろうか。唯一のと申しますか、最大の、我が国は債権国と言われる、そしてまたアメリカは債務国だと。こういう中で、どうもある意味では割り切れないものが日米関係で横たわっているような気がいたします。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現下の経済再生という取り組みからしますと、早く不良債権を処理して前向きの経済発展に対する意欲を取り戻したいということから、構造改革なくして景気回復なしということでいろいろな改革に取り組まなきゃならない。わけても、二、三年以内に不良債権の最終処理を目指すという方針を掲げているわけでありますので、この問題に取り組むことが一番大事ではないか。要するに、不良債権の処理に苦悩していると、これが景気の足を引っ張っているというふうに私は考えております。
- 齋藤勁君 先ほど申しましたように、世界最大の債権国である。言ってみれば、債権国というのは金持ちであると、こうなるわけですね。
一方、デフレ圧力に苦しめられていると。ということで、片方は世界最大の債務国、一つ陰りを見せつつも空前の好況をずっと維持しているというアメリカ経済、この日米関係の構造にメスを入れない限り日本経済というのは立ち直れないんではないか。大方効果はないだろうという財政出動についても、こういったような根本的な部分についてメスを入れない限り、ただただ我が国の国富を減らすばかりである。
言ってみれば、日本がこの経済、あるいは汗水垂らして稼いだお金が、アメリカの財務省の証券を買うことですべてアメリカに還流してしまう。円がいつの間にかドルにすりかわり、アメリカ経済は日本の苦況によって株式が高騰をしていると、こういうふうなことであって、どうもアメリカというのは基軸通貨国なので、幾ら借金を重ねても、ドル紙幣を刷り続けていくと。日本は働くアリであり、そしてまたぜいたくをするのはキリギリスのアメリカと、こういうような構図というのが見られないだろうかと。
論点2 改革の痛みとは
改革の痛みというのを総理は今回の所信表明以来、本会議あるいは予算委員会でもずっと伝えられているんですけれども、国民の痛みというのは今も十分味わっている、味わわされている。きのう発表の完全失業者の数も四・九%、三四十数万人、あるいはホームレスの数が二万人、そして自殺者の数がここ三年ほど毎年毎年年間三万人を超す数、大変な日本の国内を取り巻く状況で、痛み痛みというけれども、十分痛めつけられている。何でこれからまたさらに痛めつけられるんだと。そういうのが率直な国民感情である。
これは日本が今、バブル経済が破綻した後、いろんなことを強いられておりますが、これは我が党も早くセーフティーネットを張るべきだと。この間の歴代自民党を中心とした政権が、やはり国民に対して医療の問題、福祉の問題、雇用の問題、それぞれのセーフティーネットのさまざまな政策をきちっと張らなかった。そういった全部ツケが、先ほど申しました自殺者の数であり、あるいは完全失業者、ホームレスの数、あるいは生活保護者の数にあらわれているのではないかということで、私は率直に今の現状、国民は痛みを味わっている。この不良債権の処理をということはこれは別に異論はないんですが、もっと奥深い原因があるのではないか。
日本経済、アメリカ経済との関係、このことについて私はあえて提案し指摘をさせていただきたい。
論点3 歯切れ悪い答弁=米ミサイル防衛構想
次に、引き続き総理並びに外務大臣に外交・安全保障政策についてお伺いいたします。
外交日程を終えて総理へ報告をされた。どのようなことを、特に中国あるいは韓国両国等を中心にさまざまな話し合いをされたのか、概要をお伺いしたい。
- 国務大臣(田中眞紀子君) 今月の二十四、二十五、二十六とASEMという会議がございまして、アジア欧州外務大臣会議もありまして、そのときの全体の会議でのテーマになりました事柄について御報告いたしまして、あとは一対一で二国間で話をいたしました国が数カ国ございましたので、その中で多分御関心がおありになる日韓と日中についても御報告をいたしました。中韓ともに教科書問題、もう御案内のとおりですけれども、それから台湾問題、それから靖国問題についていろいろとこちらからも、それから先方からもお話がございましたものですから
- 齋藤勁君 新たなるミサイル防衛構想、これについては中国あるいは韓国それぞれ、外務大臣、どういう話し合いをされましたですか。
- 国務大臣(田中眞紀子君) 中韓両国ではこのような話は一切出ませんで、むしろASEMの会議の中で、ヨーロッパの国の外務大臣がいろいろ意見をランチのときにおっしゃっておられました。
- 齋藤勁君 新たなるアメリカのミサイル防衛構想、ブッシュ大統領の考え方が示されているんですが、訪米時の協議の中に当然このことが課題として入るんではないかと思いますが、我が国政府の見解としてどうこれは臨まれる予定なのか、現時点での考え方を伺いたいと思います。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) このミサイル防衛問題については、今後とも米国と緊密に協議をしていきたいと思います。
- 齋藤勁君 我が国内、政府内、あるいは与党内、どういうふうにこれから、日程的な点もありますが、論議の積み立てをしていくつもりですか。
- 国務大臣(中谷元君) 我が国の安全保障に関することでありますので、外務省、防衛庁、また官邸と密接に連絡協議をしていく所存でございます。
- 齋藤勁君 スタンスとして、諸外国は既に懸念をしているとか賛成とか、大体どちらかのスタンスに立っていると思うんですよ。どういうスタンス、立場に立ってこれから議論形成をしていく立場ですか。総理、どうですか、総理として。
- 国務大臣(中谷元君) 米国のミサイル防衛構想につきましては、昨日もNATOでこの問題、協議されておりますが、その内容もまだ構想、概要段階で中身がわからないということでNATOの協議は終わっております。
ですから、ミサイル防衛構想につきましてもまだ概要の段階で、これから米国の戦略やらその内容が明らかになってこようと思いますので、現時点におきましても、我が国の立場はNATO並びに各国の状況と同じ程度でございます。
- 齋藤勁君 総理は同じ考え方ですか。今、防衛庁長官の見解と。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは日本としても安全保障の面から重要な問題であるし、軍備管理・軍縮どうあるべきかという観点から当然関心を持って協議していかなきゃならないと思っております。
- 齋藤勁君 少なくともこれは従来の我が国が進めている新中期防と相入れない部分があるんじゃないですか。今度の新ミサイル防衛構想というのは全く違った観点から提起されていませんか。
- 国務大臣(中谷元君) せんだってもアーミテージ国務副長官が来日されまして概要の説明はありましたが、現在行っているミサイルの共同研究に何ら支障を与えるものではないというふうに米国側から言われております。
- 齋藤勁君 後ほど別のことでもお話ししますが、我が国の立場はどうなんだ、我が国はどういう立場でこういった会談に臨んでいくのかということをあえて質問しているんで、どうもこの部分になると歯切れが悪いのかという感じがせざるを得ません。
論点4 普天間使用期限問題を明確に
次に、普天間移設・返還問題ですけれども、地元の方々はもうこの十五年使用期限問題というのは、知事も地元の市長も一生懸命アメリカまで行っているけれども、なかなか困難なのかなという雰囲気ですが、総理、この十五年使用期限問題というのは日米協議の重要な課題であるという認識をされていますか。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、今までもこの普天間問題につきましては、沖縄県等の考え方を、十分要望というものを踏まえて対処していかなきゃならぬということで、今後とも移設問題、基地の返還問題等にかかわる大事な問題だと認識しております。
- 齋藤勁君 訪米される中身の重要だということ、わかるんですけれども、この十五年移設問題も日米の首脳の話し合いの中で位置づけて、積極的に日本政府として訴えたいと、こういうことでよろしいですね。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) そのとおりでございます。
- 齋藤勁君 県民の、そしてまた沖縄の痛みは日本国民全部の痛みですから、そういう意味でぜひ積極的な政府としての取り組みをお願いしたいと思います。
論点5 米軍基地は半永久か
さて、非常に大きい話をさせていただくんですけれども、現在、冷戦構造が崩れて約十一年たちました。けれども、どうも我が国は、まだまだ冷戦構造時のいろんな安全保障についての立場をぬぐい去っていないんではないか。総理に単刀直入にお伺いいたしますけれども、他国の軍隊が未来永劫のごとく駐留をしているという現状、自国の安全を他国に依存し続けるという、こういう国は何かおかしいんではないかなという気は私はずっと持ち続けているんですけれども、このことについての率直な所感をお伺いいたします。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、大方の国民は、自国の防衛は自国だけでしたいと思っているのが大多数じゃないでしょうか。しかし、世界情勢を見て、自国一国だけで防衛できる国は果たして幾つあるか。しかも、我が国においては軍隊を持っちゃいかぬという議論が根強くある。そういう中で安全保障を確保する場合に、どういう態度がいいか。日本はアメリカと提携協力する、安全保障を確保するというのが現下で私は最善の道だと思っております。
- 齋藤勁君 総理は十分御承知だと思うんですが、我が国の在日米軍基地が我が国そして極東の安全、安全保障を確保する、こういうことで在日米軍基地がある。しかし一方で、第七艦隊というのがハワイから喜望峰までの広範囲な枠で、言ってみれば地球の半分、これだけカバーをしているという、こういう存在があって、我が国の横須賀も含めてですけれども、横田もあるいは佐世保も普天間も嘉手納も全部そうですが、そういう戦略基地として存在をしているということについての認識はされていますよね。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) そうであります。
- 齋藤勁君 総理、これが二十年なのか三十年なのか五十年なのか、遠い将来を見て我が国が他国の軍隊がずっといるという状況というのは、そのときは思いたくないと。であるならば、それに向かってどうステップを踏んでいくべきだろうかという組み立て方を我が党は考えているわけです。そういう立場に立つならば、将来、我が国がこの米軍基地のない安保を目指していくということで、段階的に縮小していくんだという我が国の主体的な姿勢というのが将来を見据えてあるべきではないか、こう思うんですが、いかがですか。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) 安全保障を考える際に一番大事なことは、みずからの国はみずからの力で守るという気概と準備だと思います。いかなる国と提携協力をしながら安全保障を図る意味においても、自国を自国で守ろうとしない国に他国が援助するはずがないと私は思っています。
- 齋藤勁君 将来的な私はビジョンを持つべきだと思っているんです。そういう意味で。先ほど申しましたように、戦後五十六年たっても、我が国に約五万人弱、そして約一千万坪だそうです、我が国の米軍基地、提供しています。これがもしずっと当然なんだということだったら、国際社会から国際社会の構成員としておかしいと烙印を押されるんじゃないかと思うんですね。
薄っぺらな安易なナショナリズムを持つつもりはありません。あるいはまた、積極的に自主防衛をどんどん拡大していけばいいんだということでもなく、日米関係を重要にしながら相互に信頼をし合っていく、そういった関係というのをつくっていくべきではないかと思っています。
そこで、先ほど沖縄のことについて、移設問題について伺いましたけれども、将来のプロセスを見詰めていくならば、国内の在日米軍基地を整理、縮小していくという方針、これは我が国もとっておりますが、この方針は変わらないですね。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) できるだけ整理、縮小を図っていくという方針には変わりありません。
(相模総合補給廠の返還)
- 齋藤勁君 整理、縮小に努力をするということで具体的にお伺いしたいんですが、神奈川県相模原市がございますが、ここはJR相模原駅の横に相模原補給廠という広大な陸軍の補給廠がございまして、長きにわたりまして市長あるいは市民一緒になってこの補給廠の跡地の構想を、利用しようということで今素案ができ上がりまして、間もなく、一、二カ月しますと構想が、中間報告が出ます。これはJRの駅を移転をするとか、壮大な町づくりプランでございまして、これは現時点で全く遊休化をしておりませんが、今の整理、縮小をしていく方向にぜひリンクをしていただいて、政府として積極的に取り上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) 沖縄の基地の負担を本土がどうやって引き受けていこうか。また、私も地元横須賀に住んでおりますし、米国海軍基地も存在しています。あの基地が全部横須賀市で使えたらどんなにいいだろうかと思う気持ちは十分わかっております。また、かつて選挙区でありました逗子市の池子弾薬庫の返還運動にも携わってまいりました。
そういう点から考えますと、みずからの地域内にある米軍基地を返還してもらいたいという市民の気持ちは痛いほどわかっているつもりでございますが、この相模総合補給廠というのは物資の保管及び補給等の後方支援施設として現在重要な役割を果たしていると聞いております。そういう点を考えまして、現時点で日本側がアメリカ側に返還を要求する考えは残念ながらないと言っていいと思うのであります。
- 齋藤勁君 相模原の町づくり、神奈川の町づくりの中で、市民が必要だということについて合意をされて決まっていくという過程の中で、一緒にテーブルに着いて、日米関係の話し合いをするというのが、我が国政府の国民の立場に立った姿勢ではないかということを申し上げている。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) 基地の全般的な整理縮小という観点から、適切な対応が必要ではないかと思います。
論点6 靖国神社公式参拝は後藤田談話を思い起こせ
国のリーダーはアジアの気持ちがわからなければいけない
- 齋藤勁君 靖国神社の公式参拝についてお伺いいたします。坂口大臣、公明党としての靖国神社公式参拝についての見解、概略を伺いたい。
- 国務大臣(坂口力君) 私自身は、宗教とのかかわりがありますだけに、政治家としては、いかなる宗教であれ、やはり中立を堅持していかなければならないというふうに思っております。党といたしましては、それが靖国神社であれ、他の神社仏閣であれ、個人的にそこに参拝をするということは、これはそれぞれ許されることであるというふうに思っておりますが、公式にということになりますと、これは憲法上の制限があるというのが党としての考え方でございます。
- 齋藤勁君 官房長官、お尋ねいたします。
一九八六年に後藤田内閣官房長官、当時、首相の靖国神社公式参拝見送りについてということで六点述べられておりますが、現官房長官としての見解を伺いたいと思います。
- 国務大臣(福田康夫君) 御指摘の後藤田官房長官の談話にあります考え方、これは今でも変わりません。
- 齋藤勁君 田中外務大臣、先ほど中国、韓国、このことは教科書問題とかいろいろな中の一つだと思うんですが、行った中で、このことについては中国のどなたから、韓国のどなたからどのように外務大臣に話があったのか教えていただけますか。
- 国務大臣(田中眞紀子君) この問題につきましては、まず中国側は御自分の方からは、ほかの教科書問題もそうですが、一切触れられませんで、私の方からお話を申し上げました。そして、韓国側は先方から先におっしゃったんです。
それで、私はまず、私は参拝には行かないけれども、小泉総理は、戦争を美化するとか、あるいは戦争そのものを正当化するのではなくて、亡くなった方の御冥福を祈るという気持ちでいらっしゃるんだというつもりで行かれるという、日ごろの総理のかねてからの御発言をそのままお伝えいたしました。そうしましたら、中国側は、雪に霜を加えるということわざがあるそうでございまして、仮に総理の身分で公式に参拝をすることになると、日中関係に重大な影響をもたらすという懸念を表明されました。
それから、韓国の韓昇洙外交商工部長官ですけれども、それは、近隣諸国の感情に配慮をして慎重な対応をお願いしたいという発言をなさいました。
- 齋藤勁君 五月十四日の衆議院予算委員会の質疑で久間委員が靖国問題で質問されたときに、総理の答弁、二度と戦争は起こしてはいけないという気持ち、これは同じです。
私の父親は大陸に一兵隊として行っていまして、帰ってきてすぐ死んでいるんですけれども、私の父親のすぐ下の弟は戦争を知っていまして、家族の中でこの戦争ということについての話はいつもしていまして、なかなか墓参りには行けないんですけれども、ただ、いろいろの先輩に聞きますと、おまえいつ行ってもいいんだ、もう人間の気持ちというのは別に命日とかなんかじゃなくてもいいんだよということですから、時間があったときには墓前に行って頭を下げてまいりますけれども、その部分について私は何ら変わらないんですね。
中曽根さんが八月十五日に行かれて、その後十六年間事実上行っていない。公式参拝していない。この理由は、言ってみれば他者への思いやりではないか。日本国民の痛みもそうだし、アジアの人たちの痛みも思うということで、このことの思いは私たちみんな持っているんじゃないかと思うんですね。
そういうことについて私は総理としてきちんと受けとめて対応するというのが日本のリーダーではないかと思うんですが。
この間の外務大臣の中国あるいは韓国、そしてこの間の国会の論戦を聞いて、従来と全く、小泉総理大臣としてはこの五月十四日の答弁と変わらないのか、いや変わったのか。私は変わるなら変わったって別に、当然あるべき姿だと思うので、いかがでしょうか。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) 結論から言えば、変わりません。
- 齋藤勁君 この辺は率直に言って見解が異なりますね、
これは韓国の方々や中国の方々にとって失礼にならないと思うんですが、ドイツ人がヒトラーとかゲーリングとかあるいはヒムラーとか、その人たちが祭られた教会の式典に出席するような、そんな感じではないかと思います。
いずれにしろ私は、総理はこの間ずっと情の部分で言っているんですが、情であるならば、私はアジアの諸国の人たちの情ということについて思わなければ、日本のリーダー、アジアのリーダーなんですから改めてもよろしいんじゃないですか、
それから、外務大臣、きのう外交防衛委員会で、毎年毎年この靖国神社問題というのがいろいろ議論をされるということで、何か解決する方法があるんではないかというような答弁をされた。これはかつて自民党の野中氏がA級戦犯の分祀ですか、そういうことを指して言われるのか。今、私が、情の部分であるならば、アジアの人たちの気持ちをもって、総理は八月十五日、あえて公式参拝なんということを言わないということと、それから、そういうことと同時に、何か解決する方法はないのかということについてきのう述べられていますので、そのことについての見解をお伺いしたいと思います。
- 国務大臣(田中眞紀子君) 私も、かつて野中先生が分祀できないものだろうかというような御発言があったことは承知いたしております。
昨日、私が発言いたしましたのは、分祀ということでもありませんし、あるいは内閣総理大臣たる地位の方が行くべきでないという議論でもございません。そうではなくて、千鳥ケ淵に戦没者、例のさざれ石がありますけれども、国歌に歌われている、あそこでありますとか、あるいは靖国神社とか、それから武道館でも両陛下がお出ましになって式典ございますけれども、そういうものをもう一回、若い世代もみんな一緒になって、今後どういうふうにあるべきなんだろうかということについて、一回考えないと、いつもいつもこういうことを繰り返して議論しているのは大変じゃないかなという思いがいたしまして、発言いたしました。大変重要な問題でございます。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) 八月十五日というのは日本国民にとって大事な日だと思っています。それは、終戦の日であり、二度と戦争を起こしてはいかぬと。そして、祖国のために心ならずも命を犠牲にされた戦没者の方々に心からの敬意と感謝をささげたいという、そういう気持ちから私は参拝をしたいと思っているのであって、むしろ気持ちの中におきましては、二度と戦争を起こしてはいけない、この国難に殉じて、よくもとうとい命を苦しくても犠牲にしてくれた方々に感謝をささげる行為が毎年毎年議論になるというのは余り好ましい問題ではないと。
私は参拝いたしますけれども、この行為に対して、もし中国にしても韓国にしても、何か不快な念を持たれるのだったらば、その不快の念を取り除くような相互理解と友好関係の改善を図っていく、これも同時に必要ではないかと思います。
むしろ、たとえそういう批判があっても、八月十五日に日本国総理大臣が行くということにおいて、もうこの問題で余り外交問題として取り上げるのはやめようと、そういう気持ちにしていきたいなと思っておりますし、八月十五日には必ず参拝するつもりであります。
- 齋藤勁君 かたくなな総理の姿勢について、ある意味では私は驚きを持ちつつも、過日所信表明演説の中に「日本が平和のうちに繁栄するためには、国際協調を貫くことが重要」だというくだりがございます。この「国際協調を貫くことが重要」だと、二度と国際社会から孤立し、戦火を交えるようなことがあってはならないと。この国際社会から孤立し、戦火を交えることがあってはならないというのは、これはだれもが一致する。
国際協調ということで、私は、先ほど福田官房長官が、後藤田元官房長官の談話について、そのとおりですという話は、少なくとも近隣諸国の国民の間に「我が国の行為に責任を有するA級戦犯に対して礼拝したのではないかとの批判を生み、ひいては、我が国が様々な機会に表明してきた過般の戦争への反省とその上に立った平和友好への決意に対する誤解と不信さえ生まれるおそれがある。それは、諸国民との友好増進を念願する我が国の国益にも、そしてまた、戦没者の究極の願いにもそうゆえんではない。」と。
さらには、「公式参拝の実施を願う国民や遺族の感情を尊重することは、政治を行う者の当然の責務であるが、他方、我が国が平和国家として、国際社会の平和と繁栄のためにいよいよ重い責務を担うべき立場にあることを考えれば、国際関係を重視し、近隣諸国の国民感情にも適切に配慮しなければならない。」と。国民感情にも適切に配慮しなければならないということがこの談話の中の一つのポイントになってきているわけです。
したがって、私は、「引き続き良好な国際関係を維持しつつ」ということであるならば、私は総理の所信表明の、平和のうちに繁栄する、国際協調を貫くことが重要だということについてはこの談話と全く一致するわけで、そこから靖国神社の八月十五日の公式参拝ということについての発言は出てこない流れではないかとあえて訴えているつもりなんです。それでも行かれるわけですね。
- 内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私が靖国神社に参拝することが日本国民が平和を希求しない国民であるとはとられないように相互理解を深めていきたいと思います。
(午後の質疑)
論点7 セーフガード 対中関係と付け焼き刃の農業政策
- 齋藤勁君 本年四月に措置をされましたネギ等三品目に関するセーフガード暫定措置について、関係大臣にお尋ねをいたします。
ネギ、生シイタケ、畳表、四月二十三日から二百日間、セーフガード暫定措置が発効されました。改めて政府にお伺いいたします。この措置をとられた原因ですね、なぜこの措置をとられたのかということについて、農水大臣にお尋ねいたします。
- 国務大臣(武部勤君) これは御案内のとおり、WTO関連国際法規や協定や国内法に照らしまして、急激に輸入がふえることによりまして産業に、特に農業に重大な損害を与えるというような状況、これはどうしても避けなければなりません。私ども、国内農業が崩壊する、そして離農者が出て作付ができなくなるということは、翻って消費者や国民にその反動が出てくるわけでございますので、構造政策、構造調整ということは大前提でありますけれども、さような状況下に今お話ありました三品目についてはあるということで、政府調査を求めまして発動したという次第でございます。
- 齋藤勁君 中国の野菜産地では、例えばビニールハウス等が日本からの政府開発援助、ODA予算でつくられていると、こういうことも聞くんですが、外務省経由の場合、農水省が直接、いろいろさまざまな政府開発援助があると思うんですが、この事実については、日本政府として、中国におきます野菜産地、このビニールハウス等、これはODA予算で一部賄われている、あるいは全部賄われている、それについては把握をされていますか。
- 国務大臣(武部勤君) ODA予算で日本向けの野菜輸出の設備、技術援助に使われたと、そういう認識にはございません。これは、北京市等の野菜生産不足地域における野菜不足解消を目的としてなされているわけでございまして、輸出振興を目的としたものではないということを御理解いただきたいと思います。
- 齋藤勁君 畳表、生シイタケ、ネギ、そうすると今回の三品目のうち、暫定措置を発効しましたけれども、それらに対する中国側の野菜生産に関してのODA予算は使われていないと、こういう理解でよろしいんですか。
- 国務大臣(武部勤君) そういう目的でODAによる協力をしたというふうには理解しておりません。
- 齋藤勁君 今、大臣は、国内農業の崩壊を防ぐ、構造調整もしていくんだと、こういう理由だったと思うんですが、真に日本の産地、そしてまたその生産農家の本当に保護とか育成強化につながっていく、今度の措置で、そういうふうになるんだろうか。
大変私は疑問に思うところがあるんですけれども、本当に思っておられるんですか。
- 国務大臣(武部勤君) セーフガードの発動だけで農業を守ることができるとは思っておりませんし、セーフガードの発動は国内農業を保護するための仕組みではないというふうに理解しているわけでございます。
生産面では、省力化機械の導入でありますとかさまざま生産対策も講じている次第でありますし、さらには食品産業の分野においても努力も必要だろう。消費者のニーズに対応したそういう努力もしていかなきゃなりませんし、また消費面においてもいろいろ情報等努力を徹底しなきゃならないと、こう思っておりまして、このセーフガードが、やっぱり農業などのような場合には他の産業とは特に違いますので、構造政策を徹底させるというには多少の時間がかかるかと思います。さような意味で、種々、この三品目につきましても、産地における構造政策というものを逐次今徹底している次第でございます。このことを御理解いただきたい。このことによって、いい品質のものをより安いコストで生産し消費者に供給する、ひいては消費者を守るためにもつながる話だと、このように御理解いただきたいと思います。
- 齋藤勁君 今回の措置が二百日で目的を達することができるんだろうか、見通しが立つことができるんだろうか、甚だ私は見通しが暗いんではないかということが一つ。
そして、この中国のとりわけ山東省、ここは非常に野菜産地だということで、これをレポートされた記者の方々が非常に克明に実は記載をされている資料がございますが、「一九九一年ごろ、日本の専門商社がタネとビニールハウスを無償で提供してくれて、日本向け生鮮ネギの輸出を始めました」、「日本向けの生鮮ネギは、価格こそ国内より2〜3倍高いけど、注文がうるさくて割りに合わない。やれ倉庫には窒素を入れろ、ネギだけを保管しろとか、曲がったネギは買い取らないとか。国内向けの野菜には化学肥料を使うけれど、日本向けには有機栽培のみ。しかも、出荷まで八回も洗浄しています」ということ。 それから、例えば国内の労賃ですが、内陸からの出稼ぎ労働者が後を絶たない。出稼ぎ労働者に声をかけると、固定給は一日四元、約六十円、出来高払いだと。こういうのが基礎にありますね、労働者がたくさんいる。ある意味では競争でも太刀打ちできない。
日本からこの中国の山東省で具体的にこういう指導をしていたという事実、そしてそれが消費者に還元してきて安いネギを消費者としては購入し、そして日本人の嗜好に向けてネギがつくられて、食べてきた。やはり私は大変構造的な問題が横たわっている感じがいたします。
隣国から外貨の稼げる野菜がなだれ込んでくるというのは市場の経済の中でこれは当然のことであって、これが市場原理に従っている以上押し返すことができないと。言ってみれば、我が国として二百日間のセーフガードということになっていくわけですから。もしネギがだめだったら、場合によればネギじゃない作付をしようということも考えるかもわからない。私は、将来的には、場合によれば産地育成、それぞれの生産作物によってすみ分けをしていくということもあり得るだろうということが一つ。
そして、むしろ今出てきた問題じゃないと、これは。今出てきた問題じゃなくて、日本の農業政策、農業構造そのものについて、施策が今日までずっと綿々と続いてきた結果が今あらわれているということについて私たちは考えないといけないと思うんです。
こういう点、いかがですか。
- 国務大臣(武部勤君) 消費者の皆さん方の嗜好に合わせて作物をつくる、また生産を行うということは、これは最も大事な原則だと、かように思います。そういう面ではまだまだ国内における生産者の研究努力が足りなかった一面はあるかもしれません。
しかし、先生の論をそのまま認めますと、安い農産物は外国から買った方がいいと。日本の食料の自給率を幾ら向上させようと思っても、それには限られた狭い耕地のもとで、労賃も高いし、やってもむだだと。私はそういうふうにつながっていくんじゃないかと、かように思います。やはり国民に対しては、安全な、より新鮮な、しかも安い農産物を供給しなければなりません。しかし、今、端境期などにおいては国内で生産が追いつかない場合もございます。そういうようなときに輸入に求めるということもこれは食料の安定供給という面では避けられない話でありますから、私どもも、何でもかんでも全部国内で賄おうなどというようなことは現実問題無理でありますし、またそれは必ずしもできる話でもない。しかし、最低限度国民の皆さん方に、消費者の皆さん方に国内で安心していただける野菜や農産物を供給するということは、私は国の基本政策として大事だと思うんです。それはもう幾ら今努力しても、基本計画においても四五%しか目指せないんですから。現状はもう三八%ぐらいの自給率に落ち込んでいるわけですから。
であればこそ、構造政策と一言でくくって申し上げておりますけれども、今までのやり方を大きく超えた国内全体のマーケティングということも考えた上で、より安く、より安全な、特に消費者のニーズにこたえられるような生産体制というものを確立していくということが私は重要だと、このように認識している次第でございます。
- 齋藤勁君 私は、我が国のさまざまな食糧の自給率向上を別におくらせろなんということを申しているんじゃないんですね。当然のことながら必要だと思うんです。
今、ここで二百日間のセーフガードを発効せざるを得なかった遠因はもっと前からあったんではないですかということで、先ほど私は九一年と言いましたが、多分もっと十年前からいろいろなことがあった。この日本の専門商社、それぞれ多分私は所管の省庁によって日本から来た、野菜をつくりましょうということで、さまざまなビニールハウスもつくって、またODAだけではないかもわかりません。そういう中で一生懸命つくって、注文をつけて輸出をしていった、喜ばれた、それである日おかしくなった。
これはやっぱり日本トータルとして、外交、さまざまな政策の中で、今日の問題点というのはもう一度振り返っていかないといけないんではないか。その場しのぎで、中長期的な農業政策ということを日本の政府は怠ってきたんではないかということをあえて申し上げさせていただきたい。
だから、それが日本の農家のある意味では苦しみであり、今、実際また中国の生産地も苦しんでいる、両方苦しんでいるわけですから、こんなばかばかしいことはないわけです。
論点8 ODA改革をいつやるか 来年度予算に生かすと大臣答弁
- 齋藤勁君 次に、外務大臣の私的諮問機関になるんでしょうか、第二次政府開発援助、ODA改革懇談会、このことに関しまして、第二次改革懇がスタートしたというふうに聞いております。十一月に最終答申がある、中間報告は夏まで。次年度の予算編成にこの第二次ODA改革懇談会の最終答申が出ているんじゃ、これはもう予算編成に間に合わないですね。ということは、中間報告でこれから予算編成についてはこれは行っていくという、そういうお考えなんでしょうか。
- 政府参考人 外務省経済協力局長(西田恒夫君) お答えいたします。
ただいまの御質問でございますが、先生御指摘のとおり、先般、第二次の改革懇談会を発足させていただきました。それから、現在、七月に中間報告あるいは十一月から年末にかけて最終報告を出していただくよう先生方にお願いをしているところでございます。
したがいまして、最終報告を踏まえて、それを来年の予算に反映するということは必ずしも考えておりませんで、もちろん審議をしている過程の中で予算編成のタイミングと重なるときもございましょうから、懇談会としての何らかの提言等をいただくことはあり得るかというふうに考えております。
- 齋藤勁君 大臣、これはたしか大臣の私的諮問機関だと思いますよ、第二次懇談会。このODAに関しては、来年の予算にこれ反映しないことには意味ないんじゃないですか。大臣、いかがですか。
- 国務大臣(田中眞紀子君) 今おっしゃったような御指摘も踏まえまして、できるだけ有識者とか第三者の意見を広く吸収いたしまして、有効にODAが機能するように努力いたします。
- 齋藤勁君 今の大臣の答弁は、私は来年度予算編成というお話をしているので、それに生かす、今度の改革懇は、そういうことで受けとめてよろしいですか。
- 国務大臣(田中眞紀子君) よろしいと思います。
- 齋藤勁君 そこで、今私申し上げました「我が国の政府開発援助 概要版」に、「ODA評価体制の改善に向けて」という部分があるんですが、「八二年以来評価活動の実施と拡充に努めてきた。」ということで、最後に、契機として二〇〇〇年九月に「「日本評価学会」が設立された。」と。これが具体策で、「ODAは外務省を中心として多数の関係省庁が実施しているが、それらの省庁の実施するODA事業についても、評価実施の必要性について認識が深められている。」ということで、ずっといろいろ何かやってきたというものは書いてあるんですが、何かをしましょうということになると、なかなかこれ見えてこない、これは大臣、いかがですか。
- 国務大臣(田中眞紀子君) 外務省改革の一環として、昨日も参議院の委員会でODAの具体的なプロジェクトについての御指摘がほかの委員の方からございましたので、それも踏まえまして、きのうの夕刻、役所へ戻りましてから、すぐにこれ全部トータルで外務省関係のODA等、ほかのもございますけれども、見直しをしっかりして、最も大事なものにプライオリティーをつけて、それからほかのものはこれは見直しが必要であるとか、ほかの省庁と緊密に連絡をとって早急に一覧表を出してくれるようにということを事務方に指示してございます。
- 齋藤勁君 今までの答弁で、この第二次ODA改革懇談会についての成果は来年度予算に生かしていくという答弁であり、そしてこの間いろいろ評価の改善に取り組んできたけれどもこれを生かしていきたい、なるべく早くという答弁だったと思います。
今もお話ございましたように、「外務省を中心として」とありますが、他省庁もおられるわけですね。これを一元化するということが非常に大切だと思うんですが、一元化をしていくということで、総理がいるなら総理に、一元化して外務大臣が頭になって全部ODAについてまとめていくんだと、そうしますということを答弁を求めます。
- 国務大臣(福田康夫君) おっしゃるとおり、ODA、対外経済協力ということでございますから、そういうものは日本の国として総括的に見てどうしたらいいかということは考えるべきであるというように思います。
今現在も横の連絡は十分にとっているというふうに報告は受けておりますので、その辺は外務省を中心として一元化したやり方でやっているのではないかと思っております。
- 齋藤勁君 大臣、一元化してやっていると思っていますか。
- 国務大臣(田中眞紀子君) 財政の問題もありますので、やはりむだを見直すということもありますし、それからより機能的にこういうものを動かすためには外務省中心にならざるを得ないと思うんですけれども、縦割りをやめて、トータルに小泉内閣としてどのようなODAのやり方をするかという姿がはっきり見える形で再構築し直すいいヒントをいただいたと思いますので、また総理やら官房長官の御指導もいただきながら閣内協力してやっていきたいと思います。
- 齋藤勁君 ぜひその点は頑張っていただきたいと思うんです。
あと、私自身の時間もないので意見でございますが、本来、たまたま財政が厳しくなったということで今回ODAについても聖域なき財政改革ということで組み込もうと、これは全体的にはやむを得ないことだと思うんですが、ODAについての評価というのは、お金があってもなくてもやはりずっと長い間の我が国としての外交姿勢と対政府開発援助というのは、ある意味では大きな流れがあるはずだと思うんです。
支援をする、それについての評価、最近ではどろどろどろどろした入札の問題とか、いろんな利権絡みだとかいろいろある。これはやっぱり評価制度の問題だと思うんですが、評価制度は評価制度としてきちっと私はしていかなきゃならない。もう一つはお金で、お金はないからというので、じゃ一律カットにするのかということで、本来の評価、ODA評価ということをむしろないがしろにしたらまずい、日本自身の外交姿勢が私は問われると思うんですね。
ですから、なるべく早く、この評価のことはきちんとする、そして一方、財政的な点については、それとリンクしながら、どう説明をしながら取り組んでいくかという基調があるべきだと思うんです。
またきのうは、そういう中でもっと、ケニアのODAについても具体的に我が会派の櫻井議員から指摘がありまして、大臣からも資料等について取り組んでいただくということがあったんですが、やはり国民に対する透明感だと思います。評価については徹底的な透明感を求めていきたいと思います。できる限り大臣としてこの評価について国民に明らかにしていく、ODAについて明らかにしていくという姿勢をとっていただきたい。それを最後に伺いまして、浅尾議員の方にバトンタッチをしたいと思います。
- 国務大臣(田中眞紀子君) 評価はもちろん必要なんですが、要するにすべてがすべて一〇〇%目に見える形で、即効性のある、効果があるものだけでは世の中ないわけでして、例えば先ほどセーフガードのことをおっしゃいましたけれども、シイタケ、畳表、ネギ等につきましても、本来外務省の、当省に関して言いますと、出しているODAの目的は、貧困対策でありますとか環境対策とか技術援助をする、そういう中国の中での貧富の地域と中央との格差是正とか、そういうふうな目的もありますので、その中で今のような不幸にしてセーフガードの問題が出てきたりもいたしますけれども、やはり長期的な視野で評価もしなければならないという分野もありますことも御理解いただきたいと思います。