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小泉総理に問う

米軍基地のとりきめは今のままでいいのか

国会最終盤に質問主意書を提出

 外交・防衛委員会でいつも話題になる在日米軍基地をめぐる日本とアメリカとのとりきめは、今のままではいけないのではないか。民主党は昨年5月に斉藤議員もメンバーに入って日米地位協定改定案を策定しました。斉藤議員は、昨年10月に党総支部の学習会でもこのテーマをとりあげ検討してきましたが、このたび内閣に対して質問主意書を提出しました。基地をめぐる不平等な関係をあらためる必要がありますが、政府は消極的です。小泉総理!「改革」はここでもやらなければいけません。前向きの答弁をぜひお願いしたいです。

質問主意書とは?

 国会議員は、国会の会期中、文書により国政一般について内閣に質問することができます。質問に当たっては、簡明な主意書を作り、議長に提出してその承認を得、これが内閣に転送されます。

 内閣の答弁書は、原則として転送した日から7日以内(転送日を含める)に閣議にかけられた後、議長宛に送付されます(期間内に答弁できないときは、その理由及び答弁することのできる期限が通知されます)。質問者にはその写しが渡されます。

 この質問主意書及び答弁書は、提出者が参議院議員ならば参議院の全議員、衆議院議員ならば衆議院の全議員に配布され、本会議録にも掲載されます。斉藤議員はこの通常国会で3本の質問主意書を出していて、参議院252人のうち上位4番目です。

《参考》国会法

第八章「質問」

第七十四条

各議院の議員が、内閣に質問しようとするときは、議長の承認を要する。
質問は、簡明な主意書を作り、これを議長に提出しなければならな議長の承認しなかつた質問について、その議員から異議を申し立てたときは、議長は、討論を用いないで、議院に諮らなければならない。
議長又は議院の承認しなかつた質問について、その議員から要求があつたときは、議長は、その主意書を会議録に掲載する。

第七十五条

議長又は議院の承認した質問については、議長がその主意書を内閣に転送する。
内閣は、質問主意書を受け取つた日から七日以内に答弁をしなければな答弁をすることができる期限を明示することを要する。


質問第四十号

日米地位協定の改定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十三年六月二十六日

齋藤 勁

 参議院議長 井上 裕 殿

日米地位協定の改定に関する質問主意書

 私は在日米軍基地をめぐる諸問題に対処する際、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」(以下「日米地位協定」という。)の改定が必要と考える。このことについて、日本政府は一九九五年の沖縄での米兵による少女暴行事件などの際にも、またその後も一貫して消極的だった。例えば、昨年十一月十日の参議院本会議で地位協定改定の必要性を問う私の質問に対して、河野前外務大臣は「日米地位協定の運用の改善により機敏に対応していく」として、「日米地位協定の改定」ではなく「運用の改善」という言葉を選んで答弁していた。 

 しかし、河野前外務大臣は本年二月十四日の沖縄県知事との会談で日米地位協定改定の必要を示唆し、また橋本前沖縄担当大臣も沖縄知事との会談で「改定してもおかしくない」と語った。これは一月に沖縄で起きた放火事件で米軍が容疑者の海兵隊員の身柄引き渡しを拒否し、国内での反発が強まっていた中で対応した内容である。ところが、その後実際には、新聞に「日本政府、腰砕け」と揶揄されたように、政府は日米地位協定の改定を求めるのではなく、本年三月八日の日米合同委員会で、米兵が犯罪を起こした場合の身柄引き渡しをめぐり日米地位協定の運用を改善するための協議を開始することで一致したと報道されている。

 民主党は、既に昨年五月に日米地位協定の改定案をまとめ、政府に要望している。

 その後も続く米兵によるトラブル、犯罪は、もはや日米地位協定の運用の改善だけでは有効に対処しきれないという段階に達している。さらに韓国においても、最近在韓米軍が韓国の環境法令を尊重する「環境条項」を新設した協定が新たに合意された。こうした情勢の変化を踏まえ、日米地位協定の改定の必要性が増していると認識し、以下のとおり質問する。

  1. 現在日米合同委員会で行われているという日米地位協定の「運用の改善」のための交渉は、どのような経過と内容で行われているか。

  2. 私は日米地位協定を、以下の内容で改定する必要があると考えている。それぞれの事項についての政府の見解を示されたい。

    1. 基地の提供に係る取決めを定期的に見直し、その際、基地所在地の自治体などの意見を聴取すること、また日本政府が施設・区域の返還を要求したときは、米国政府は好意的な配慮を払うことを明らかにする必要があると考えるがどうか。

    2. 米軍の施設・区域使用には原則として日本法令が適用されること、また地方自治体の関係者が施設・区域への立入りを要請した場合に、米軍が協力するものとすることを明らかにする必要があると考えるがどうか。

    3. 日米地位協定に環境保全条項を新設すること、また環境被害については米軍の原状回復・補償義務免除の例外とする必要があると考えるがどうか。

    4. 緊急時以外の民間空港等の使用を禁止するとともに、「移動」の名目で飛行訓練が行われないようにする必要があると考えるがどうか。

    5. 日本国政府の承認の下で施設・区域以外の領域において演習・訓練が実施されるに当たっては、航空、航行及び道路交通に関する日本国の法令が適用されることを規定する必要があると考えるがどうか。

    6. 凶悪犯罪の場合に、起訴前であっても日本が被疑者の拘禁を行えるようにする必要があると考えるがどうか。

    7. 合衆国軍隊の構成員、軍属・家族、被用者の不法行為により被害を受けた場合は、公務中か否かを問わず、速やかに日本国政府から見舞金を受けられるようにする必要があると考えるがどうか。

    8. 日米合同委員会の場で関係自治体の意見を聴取すること、また、合同委員会で合意された事項は、速やかに公表すべきものとすることが必要と考えるがどうか。

  3. 日米地位協定は、千九百六十年の締結後四十一年が経過し、この間米軍基地や駐留軍の存在をめぐり様々な問題が生起した。同協定は千九百五十一年のNATO軍地位一般協定の諸原則に準拠し、冷戦が最も厳しい時代背景の下で作成されたが、東西対立構造の終焉により、内外情勢は大きく変わっている。このため、民主党及び私は折に触れ、日米地位協定の抜本的見直しの必要性を指摘してきたが、政府は極めて消極的な姿勢をとり続け運用面での改善措置に終始してきている。

 本来、条約、協定は国会の承認を得た後も「外交の民主的統制」の下で、その運用等について厳格にチェックされるべきものであるが、実際には行政府の判断に白紙委任されているのが現状である。日米地位協定の見直しは、米軍基地の過重な負担を強いられている沖縄県だけの問題でなく、全国民にとって喫緊の課題であるとの観点から、同問題に主体性を持って取り組み、これを制度的に解決し、日米安保体制下で派生している懸案事項を是正しつつ、その安定的な運用を図るため、日米地位協定の改定について日米間で協議すべきであると考える。このことについて政府の見解を示されたい。

 右質問する。