前の画面
眞紀子外相
沖縄の気持ちを本当に米国に伝えましたか
6月26日参議院の外交・防衛委員会で、斉藤つよしは、第1期目の参議院議員としての最後の国会質問をしました。前日勃発した自衛隊機の誤射事件のとと、田中外相の訪米帰国報告について質問しました。 |
自衛隊機誤射事件の真相を明確に
- 齋藤勁君
最初に昨日の北海道におきます恵庭市、北広島市にまたがる自衛隊島松演習場の上空で起きた空自戦闘機誤射事件についてお伺いいたします。
通常、操縦桿についている安全ピンを外した後トリガーを引いて発射するけれども、訓練で機関砲を撃つ際、パイロットは安全ピンを外して実射する。その後、ロケット弾などを撃つときに再度ピンを差し込み誤射を防止している。射撃担当のパイロットは、ピンを外していなかったのにいきなり射撃が始まったというふうに話しているわけですけれども、このことは、戦闘機を見て確認をされているんでしょうか。
- 国務大臣(中谷元君)
今、平沢政務官が現地へ行きまして原因の解明に努めておりますが、現時点におきましては、予見とか先入観を入れずに、人的物的両面からその原因が何であったのかという点で原因を調べている最中でございます。
- 齋藤勁君
射撃担当のパイロットは、ピンを外していなかったのにいきなり射撃が始まったと話しているわけで、それは飛行機を見ればもう一目瞭然、現場にいる方はわかるんじゃないですか。
- 政府参考人(北原巖男君)
今、大臣からも御報告申し上げましたとおり、私どもといたしましては、機材的な要因ですとかあるいは今御指摘のような人為的な要因ですとかいろいろ幅広く、これは本当に白紙的に慎重に事故原因を追及していくことが必要である、それが何よりも自衛隊に対する信頼、また地域の方々、被害を与えた方々にこたえていく一番大事なことであるということで、原点に戻って徹底究明に今努めているところでございます。
- 齋藤勁君
誤射に遭った北広島リハビリセンター、そしてまた周辺の方々、自治体から大変このことについての強い憤りと厳重抗議がある。少なくとも事実がわかった時点で記者会見をして、逐次発表していくというのが、住民に対する当然な説明のあり方だと思うんです。最低限このピンを外したか外さないか、ここはわかるんじゃないですか。これがなければあとは電気系統のトラブルだと。大臣、いかがですか。
- 国務大臣(中谷元君)
その件につきましては、前回の小松基地から飛び立った飛行機が僚友機をミサイルで撃ち落としたという事案の教訓を生かしまして、当初はあれは不時発射であって人的なものではないという見解でしたけれども、後刻調べましたらレバーを引いていたというようなこともございまして、今回につきましては、単にパイロットの言うことをうのみにするのではなくて、さらにその事情を聞いて確認をした上でやりたいと現地の平沢政務官も申しておりますので、そういう身内の調査ではなくて厳しい見地での調査をしたいというふうに思っております。
- 齋藤勁君
いわゆる誤射を受けて被害に遭った方々がたくさんいるわけですけれども、この被害に対する補償については万全の措置をとるということでよろしいんですか。
- 政府参考人(北原巖男君)
そのように考えております。
- 齋藤勁君
過日、六月七日の本委員会で、私どもの会派の広中委員が、劣化ウラン弾の存在につきまして、自衛隊そのものは劣化ウランに関する武器弾薬は持っていないと。こういうやりとりの延長線上で、米軍の状況について、以前沖縄で使用していた、大臣の方は、今は使っていないんではないか、いや使っていなくても持っているんではないか、こういうやりとりの中で、後日調査をするという答弁で終わっていますが、この調査について現時点ではどうなっておりますか。
- 政府参考人(伊藤康成君)
劣化ウラン弾につきましては、先般御答弁があったかと存じますけれども、かつて鳥島で誤射撃というのがございました。このときは、本来撃ってはならないものを誤って撃ったということでございましたが、現状については、今私、保有状況を承知しておりません。
沖縄普天間基地 期限問題を主張したか
- 齋藤勁君
次に、田中外務大臣、訪米の会談内容についてお伺いいたします。
一つは、沖縄の普天間基地問題でございます。
大臣はどのようにこの十五年使用期限問題をパウエル国務長官に提起をし、そしてパウエル国務長官はどういう回答をされたのか、返事をされたのか、お伺いいたします。
- 国務大臣(田中眞紀子君) 普天間の代替施設使用期限問題でございますけれども、これは、今回幾つかのイシューをお話し申し上げている中で沖縄問題、その沖縄問題の中でも大変大きな比重を占める問題という認識を持って私は発言をいたしました。それはなぜならば、これは地元の非常に強い希望、要望でありますので、この問題をどれだけわかりやすく、そして私どもが得心のいくような答えをパウエル長官から引き出すことができるかということは、これはやっぱり政治家として大変緊張もいたしましたし、極めてチャレンジングな状態であったというふうに私は申し上げたいと思います。
中身といたしましては、あちらのお答えは、こちらは必要なことはとにかくすべて申しましたので、早期に返還していただくことが一番最終的な目的であるわけですけれども、当然移設があって返還ということになりますけれども、その重要性についてはパウエル長官は非常によく認識をしておられました。そして、もうそれは十二分にわかっておられて、このことについては自分から、あらゆる状態について自分も理解しているし、考えなきゃいけない、そして直接ラムズフェルド国防長官にこの話を伝えるということをおっしゃってくださいました。 以上です。
- 齋藤勁君
国務長官と大臣の話し合いの総時間数はどのぐらいの時間だったんですか。
- 国務大臣(田中眞紀子君)
パウエル長官とは、約四十五分、五十分近かったかというふうに思いますが。通訳が入ってくださっていました。
沖縄海兵隊の移転を主張しなかったのか
- 齋藤勁君
日米関係の重要性から見れば短いなというのが率直な私自身の感想です。
次に、沖縄海兵隊の撤退についてはどういうふうに大臣の方から提起をされまして、パウエル国務長官はどういう回答だったでしょうか。
- 国務大臣(田中眞紀子君)
海兵隊の訓練の一部移転ということでございます。正確に申しますとそういうことです。
それは、沖縄の負担、一極集中、沖縄県民の方々の負担を軽減するにはどうすればよいかという中で、衆参両院でいろいろな意見が交わされておりました中で、具体的な問題として例えばグアムですとかサイパン、これはアメリカの自治領でございますからそういうところ、あるいはほかにフィリピン等、私は具体名を挙げませんでした。なぜならば、フィリピンはまた別の国家であります。したがって、グアム、サイパンという名前は出しましたけれども、そういうところに海兵隊の訓練の一部を移転することができないであろうか、このことについてもお考えいただけないだろうかということを申しました。
そうしましたら、パウエル長官は、沖縄における米軍のプレゼンスというものは必要なんだ、そして訓練というものは基本的には必要である、しかし沖縄にこれだけ集中していて、そして日本政府もそれだけ国民の、沖縄県民の皆様の痛みを受けとめるのであれば、それは自分もよく理解ができるので、そのこともラムズフェルド長官に伝えるということをおっしゃいました。
- 齋藤勁君
今、大臣は、訓練の一部移転とかそういうアメリカ側との話し合いだったとおっしゃっていましたが、そういうことですか。
- 国務大臣(田中眞紀子君)
訓練の一部、ローテーションという言葉を使いましたけれども、一部移転でございます。
そして、海兵隊の削減ということを今おっしゃっておられるのかと思いますけれども、日本の負担を最小限にするための努力ということはその基本にございます。そして、そのアメリカのプレゼンスというものはアジア太平洋地域の平和と安定というものがまず前提にありますし、米軍の兵力構成については、国際情勢の変化に対応してアメリカとの間で今後も緊密に協議をしていくという前提でもちろんございます。
私への答弁と違うではないか
- 齋藤勁君
大臣は訪米前五月三十一日 私の質問に答えて、「グアム、フィリピンへの移転、これにつきましては、」「沖縄にあらゆる施設が集中してしまっているということ、そして大変大きな負担を沖縄県の皆様に強いているということ、やはり沖縄県の痛みは私たち国民みんなが意識をしなければいけない問題であるというふうに私は思っておりますので、それを踏まえまして、海兵隊の移動、移転というふうな問題ですとか、それからSACOの最終報告の着実な実施ということでありますけれども、やはり基本的には県民の皆様の負担を軽減するというスタンスでどこまで現実に機能するものか、具体的なケースを出してパウエル長官の御意見を伺ってみたい、かように考えております。」
「できるだけ頑張って日本のスタンスは伝えてまいります。」と、こういう答弁でございました。
ですから、この移動、移転ということについて率直な意見交換をしていきたいと、こう私の三十一日の答弁でお答えいただいている。この答弁と違うのか。
- 国務大臣(田中眞紀子君)
そこはSACOの関係もございますし、トータルな話の中ではもちろんそういう今おっしゃったようなことも含めて言っております。
そして、先方のお答えは、アメリカのフットプリントをミニマイズするあるいはリデュースする、そういうようなことについても自分は最善を尽くしたいが、いずれにしてもこれについてはラムズフェルド長官に話を伝えるというおっしゃり方をしております。
- 齋藤勁君
近々総理大臣が訪米されるわけですけれども、普天間基地十五年使用期限問題、海兵隊の移動、移転、あるいは訓練も含めてですけれども、何らかの前進が総理訪米の中であり得るのか、いかがでしょう。
- 国務大臣(田中眞紀子君)
今おっしゃったような議題、そのほかもたくさんあるわけでございますけれども、現在日米間で事務的に調整中でございます。
外相はミサイル防衛に理解を示したか
日本はロシア、欧州とどう立場が違うのか
ミサイルは民生に役立つ ??
- 齋藤勁君
大臣、アジア情勢についてはパウエル国務長官と意見交換をされたんでしょうか。
- 国務大臣(田中眞紀子君)
個別にここがどうであるというふうなお話はいたしませんけれども、日本を取り巻く地域全体のアジアの平和と安定のために日米の同盟も大切であるというふうな話し向きをいたしました。
- 齋藤勁君
あなたはアメリカのミサイル防衛に理解を示したのですか。あるいはアメリカの新たなミサイル防衛構想に反対しているロシアとか欧州とかと我が国は違う立場にある、こういうふうに言われたということは事実なのかどうか。
そして、いわゆる戦域ミサイル防衛というのは、これはTMDですけれども、「将来民生分野、平和に役立つこともある」と、こういうこともコメントされたと。何を指して
役立つのか。お尋ねいたします。
- 国務大臣(田中眞紀子君)
欧州と違うという意味は、地政学上違っておりますので、あらゆる不安定、不確実性、不透明性というファクターが今現在欧州が抱えているものと日本は違うという意味で発言をいたしました。それはミサイル防衛構想に関連して発言いたしました。
それからもう一つ、民生ということをおっしゃっておられますけれども、直接軍事のものが民生にすぐ行くということ、転用してはならないということは基本にございますけれども、これがすぐわかっていればノーベル賞ものだと思いますけれども、いろいろな研究開発をしているうちに、例えば時間と距離の関係ですとか、そういう誘導制御の問題とか、軍事ではないところで何かもう少し便利なことで役立つことがあるかもしれません。そういうことを言ったわけで、それは今、これができる、あれができるというふうなことではありません、もちろん。
- 齋藤勁君
十五年問題、海兵隊の問題を、少なくとも日米間でアジア問題というのをきちんと意見交換をした上で、、ミサイル防衛戦略も含めましていろいろ具体的に話をすべきではないかと私は思います。
ODA改革は来年度予算に反映させるように!
それから次に、ODA予算の見直しについて、私自身、先月末の参議院の予算委員会で答弁いただきましたが、きょうの時点では具体的に進んでいるのではないかと再確認をしたいと思います。
いわゆる外務大臣の私的諮問機関、第二次政府開発援助改革懇の問題です。政府がODAの評価をしますと言っても、評価をしたような機関や、評価をしてまた次年度予算に生かしていくシステムがなかなかできてこなかった。しかしながら、今回大臣のもとに第二次改革懇がスタートし、来月中間報告、そして年末には最終答申と、こういう運びで明らかになった。その際、せっかくここで大臣のもとに改革懇ができるならば、中間報告、そして最終答申(十月か十一月)を、手前に持ってきて来年度の予算編成にこれを反映すべきだと、こういう質疑をしまして、大臣は今度の改革懇としてはそういうことでよろしい、生かすということでよろしいと思いますという答弁をされています。どうですか。
- 副大臣(杉浦正健君)
ODAを担当している副大臣としてお答えいたします。
第二次ODA改革懇談会は既に三回の会合が開催されております。その最初の会合に私は外務大臣のかわりに出席をいたしまして、小泉内閣としては聖域なき改革を行うという立場ですので、ODA改革懇談会としてもあらゆる角度からODAの検討を加えていただきたいということを申し上げました。そして、予算編成がこれから始まるのであるけれども、それとあわせて平成十四年度のODA予算に皆様方の意見が反映できるように中間答申を出されるなり、あるいは出されないとしても皆さん方の御意見を賜りたい、それを反映させていただきたいということも申し上げております。
したがいまして、御質問にあったような方向で、懇談会の結果が生かされるものと思っております。
- 齋藤勁君
改革懇の中身が来年度の予算編成に生かされる、そういうことで取り組んでいるということで受けとめさせてもらいます。
次に、関連いたしまして、いわゆる政府開発援助、先ほど申しましたこの評価の問題ですけれども、大臣は「外務省改革の一環として、全部トータルで外務省関係のODA等、ほかのもございますけれども、見直しをしっかりして、最も大事なものにプライオリティーをつけて、それからほかのものはこれは見直しが必要であるとか、ほかの省庁と緊密に連絡をとって早急に一覧表を出してくれるようにということを事務方に指示してございます。」と。この一覧表を提出してほしいということを事務方に指示をしている。これはもう出されているんでしょうか。
- 副大臣(杉浦正健君)
たしか委員の御質問は五月三十日だったと記憶しますが、その直後に大臣から経協局に指示がございまして、作業に入っております。近々、事務当局から私を経由して大臣の方へその結果が報告されるものと思っております。
これはあくまでも平成十四年度のODA予算、これから編成作業に入っていくわけですが、それに資するためにやっておるものでございまして、それまでには私どもとしてきちっとした方向が出せるようにしたい、こう思っております。
平成十四年度の予算編成、これから始まってまいりますが、それに間に合うようにきちっと出してほしいという指示はいたしております。
3度目の質問にもゼロ回答
いつまで待たせる 池子と富岡倉庫地区の返還交渉
- 齋藤勁君
前回、五月三十一日、私自身の質問で、神奈川県の池子の住宅地区及び海軍補助施設横浜市域分、そして横浜市金沢区にございます富岡倉庫地区の返還について、これは調査をすると、こういうことで二度終わっているんですが、調査はされましたでしょうか。
- 政府参考人(藤崎一郎君) 私どもといたしましては、御指摘の施設・区域の現状について引き続き関係省庁とも協力しつつ把握に努めているというところでございます。
- 齋藤勁君
どれだけ待てばいいんですか、どれだけ待てば。
- 政府参考人(藤崎一郎君) 鋭意現状把握に努めているところでございますし、今後とも引き続き関係省庁とも協力してまいりまして、しっかりと現状につきまして御報告できるようにしたいというふうに思っております。
- 齋藤勁君 率直に言って困りますね。怒っているんですけれども。
大臣、この前、指示していただいたんですよ、局長に。大臣いかがですか、
- 国務大臣(田中眞紀子君)
鋭意という言葉は、どのぐらいの期間かという質問には答えていないと思いますので、もう少しクリアに答弁した方がわかりやすいのではないかと思いますが。
- 齋藤勁君
そういうことで大臣が言っているんで、北米局長、答えてください。
- 政府参考人(藤崎一郎君) 具体的な期間等について今この時点で申し上げることは困難でございますが、一生懸命現状把握及び関係省庁との連絡に努めてまいりたいというふうに思っております。
- 齋藤勁君
これじゃ、いろいろさまざまな外交関係をやったって国民から信用されない
ですよ、一体何やってんだということで。困ったものですね。大臣、督促してください。
終わります。