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参議院外交防衛委員会質疑
(2002年5月21日)
- 斉藤 勁
在藩陽総領事館事件、いわゆる亡命者連行事件について、中国政府との折衝状況、現時点での政府の考え方は。
- 川口外相
今、中国政府と協議している。日中関係を大事に、冷静に毅然として人道上の問題、国際法上の問題として早期に解決していく。特に、人道上の問題が最優先であると考えている。
- 斉藤 勁
5人を一刻も早く第三国へ出国させることを最優先に折衝を続けているのか。
- 川口外相
私どもの人道上の問題についての基本的な考え方は、何人も自分が望まないところに送られるということではない。迫害を受ける可能性のあるところに送られないということが大事で、そういった観点から中国側と協議をしている。
- 斉藤 勁
安倍官房副長官は第三国出国を最優先に対応するとすでにコメントしているが。
- 安倍官房副長官
5人の人権、人道上の観点を第一に考えなければいけないということだ。
- 斉藤 勁
第三国出国の場合、日本側は住民の身元や出国意志の確認を国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に任せるなど、国連機関による間接的な確認で済ます柔軟な対応も選択肢の一つとして入っているか。
- 田中アジア大洋州局長
5人の人道上の要請を優先的に考えながら静かに中国側と話しをしていきたい。いろんな選択肢があることは否定しないが、それがどうだこうだと今の段階で申し上げる状況にはない。
- 斉藤 勁
対中陳謝要求はウィーン条約問題にかかわることだと思うが、国際法上の問題は当面切り離していくことで政府は一致しているのか。
- 川口外相
この問題は今まさに協議をしているので、具体的なコメントは差し控えたい。斉藤 勁 この問題で民主党は現地調査団を派遣したが、総理はわが党の調査団に対し「自虐的なことを言っている」と公の場で述べたが、総理や政府高官の言うべき発言ではない。総理は今もそう思っているのか。
- 安倍官房副長官
外務省調査結果では、中国側の武装警官の藩陽総領事館への立ち入りおよび関係者5名の連行については日本側が同意を与えた事実はない。今回の事件の事実関係をめぐって日中間には大きな見解の相違があるが、我が国としては中国側に対し、今後とも毅然かつ冷静に、人道上、国際法上の問題点を指摘するとともに、我が国の立場を堅持しつつ、中国側と協議しながら問題の解決をめざしていきたい。
- 斉藤 勁
副長官、あなたはわが党の調査団の発表に対して中国のために拡声器の役割をするのはおかしい、とあなた自身が批判したのではないか。
- 安倍官房副長官
民主党のみなさんが、先方の主張をそのまま発表されることで、こちら側の交渉力に大きな影響を与えるのではないかと思い、率直に述べたが、皆様方がたいへんお怒りであるとすれば、たいへん恐縮している。
- 斉藤 勁
わが党の調査団の発表に対して拡声器の役割を果たすなんて発言は許せない。撤回すべきだ。
- 安倍官房副長官
中国側の主張がその段階では外に出ていなかったので、それを伝えたという意味で申し上げた。向こう側の手にある5人の立場を何とか守らなければいけないということで必死で先方と激しい交渉をしている最中なので、そういう意味で申し上げた。
- 斉藤 勁
委員長、官房副長官は否定も撤回もしていない。撤回するように言って下さい。
- 武見委員長
ただいまの件に関しましては、理事会で改めて検討させていただきます。
- 斉藤 勁
撤回しないと質問はできない。
24分間審議中断
- 武見委員長
それでは、安倍官房副長官の発言を求めます。
- 安倍官房副長官
私の中国の拡声器という表現につきましては、適切さを欠いたということで撤回させていただきます。
- 斉藤 勁
神奈川県議会が鈴木宗男衆議院議員に対する議員辞職勧告決議を今日か明日に採択する。県議会で辞職勧告決議が出ることは、たいへん深刻に受け止めなければならないと思う。外務省はどう考えているか。
- 川口外相
それについて何か申し上げる立場にはない
(参議院記録部作成の会議録情報をもとに編集。文責・斉藤 勁事務所)