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(総理質問の舞台裏おしえます)

コップの水まきより、COP6に注目を

森総理大臣に対して IT基本法について質問しました

11月28日 

 11月20日の野党からの内閣不信任案をかろうじてかわした森総理ですが、党首討論は拒否した(周囲が出したくない)ので、野党から要求があった交通情報通信委員会のIT基本法の質疑に出席しました。
 おかげで、私の総理への質問が実現しました。
 この日の質問で、私が用意した論点は次の内容でした。

「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案」への論点

  1.  IT基本法案の理念について
    本法案は、IT普及促進法案になっていて、国民本位、消費者本位の基本理念が弱い。産業優先ではなく、このIT革命が市民本位となるようしっかり位置づける必要がある。
    その上で、
    1. 情報格差の解消、情報活用能力の向上をどのようにしていくのか。
    2. 高齢者や障害者にとって、現在の機器は決して使いやすいものではない。情報バリアフリーの考え方をどのように具体的に貫いていくか。
    3. 若年層から学校教育において、IT教育を導入すべきと考えるが、具体的に学校教育において、どのような施策を考えているか。
  2. 消費者保護について
    消費者被害については、電子商取引における誤操作によるトラブル、不正契約、プライバシーの漏洩等に対し、安心できる決済方法、電子署名・認証制度や個人情報保護法の制定などの対策が必要。また、サイバーテロ、コンピューター・ウィルス、不正アクセスなどの犯罪に対する技術開発、法整備、監視体制の強化も必要。これらに関して政府の整備計画はどうなっているのか。
  3. 行政の情報化
    国民の利便性の向上という観点から、行政サービスの電子化は評価される。しかし、行政の手続きにおいて、電子化がかえって煩雑さを増したり、入力処理をうまく受け付けないといった硬直したシステムになってしまっては困る。電子的な申請手続きの説明が、難解な専門用語で指示されれば結局役にたたない。国民がどのようにわかりやすくアクセスできるようにするか。また、自治体の電子市役所実現への政府の支援策はどうか。
  4. 電子情報公開
    情報公開法の趣旨が、この行政の情報化でどのようになっていくか。国民が行政情報を容易に入手するためには、どのような措置が必要か。アメリカでは、作成した行政情報を1年以内にインターネットなどを利用して開示することが義務づけられている。また、95年「文書削減法」で積極的な電子データ化が義務づけられている。我が国でも行政情報全体をより積極的な電子情報公開として、国民に開放するようでないと、国民本位のものにはならない。
    時々刻々と動く省庁の動向なども、電子情報公開の対象とすべきと考えるがどうか。また自治体も同様である。
  5. 雇用の創出 
    先の本会議で雇用不安への対応として総理は「人材ニーズの変化や働き方の変化に対して的確かつ積極的に対応していく、そのため、新たな産業の創出による雇用機会の確保を図るとともに労働の需給のミスマッチを解消し、セーフティーネットを強化する観点から、はたらく人々に職業訓練を実施して、IT化にかかわる専門的な内容の訓練を含め、多様な能力習得機会を確保する」と答弁している。
    具体的には、 どのような施策を考えているのか。
  6. 総理が本会議で「 地方公共団体による交付金を活用したNPOへの事業委託を進めることによって、幅広い分野における雇用創出に努めていく」と答弁した 。 この場合、NPOへの税制面での支援策は当然不可欠と考えるがなかなか実現してこなかった。総理自身の前向きの決断を要請する。
  7. ASEANの会合で、総理はIT格差解消のため、150億ドルの支援を表明した。この具体的内容、方法はどのようなものか。「真水」で150億ドルと報道されたがほんとうか。一方でODA予算の削減・見直しを表明したとの報道もあるが、これらの関係はどうなっているのか。
  8. ハーグにおけるCOP6の会議は決裂した。このことは、日本がかって京都におけるCOP3の議長国としてまとめられた内容が後退したと受け止められている。総理は今後地球温暖化に対してどのような方針をもってのぞむのか。

質問当日の目標

 当日はわずか15分間の持ち時間だったので、論点をしぼって

  1. 直前に行われた地球温暖化会議の決裂をどう考えるか。
  2. ITに関するASEAN支援を150億ドルとして、「真水」で行うとの報道の真偽を確かめる。
  3. 「NPO活用による雇用の創出」ということを総理自身が本会議で答弁しているのだから、NPOへの税制上の支援策を約束させたい。
  4. 横浜市はじめ自治体が電子市役所構築に向けてとりくんでいることの政府からの予算措置はどうか。

 だけ質問することに決めてのぞみました。

興味本位の報道では政治はよくならない

 ところが、森総理は、ASEAN諸国への150億ドル支援「真水」発言について、いろいろ話し出して、要領をえないことはなはだしく、「真水」といってしまったけど、内容は全然そうではない。これは、対外的なメッセージとしては、最悪の「失言」ではないでしょうか。

 このやりとりの報道は朝日新聞のみが報じましたが、最後の、本会議場でコップの水をまいてしまった松浪衆議院議員の登院停止処分への感想で総理が「気持ちはわかる」と言ってしまったことへの追及が、その夜のテレビ各社と翌日の新聞にのっていました。

 質問中に同僚議員からその日のできごととして知らされたので、とっさに質問したものですが、政治的な意義としては、NPOへの税制支援にもっと着目してほしかったところです。それから国際的なデジタルディバイド解消のためのアジア諸国へのIT支援のあり方は大いに皆で考えるべきことです。

 ああそれなのに、コップの水かけの松浪議員への同情話しかマスコミが取り上げないとは。目の付け所が興味本位だと思います。

≪≪会議録からの抜粋≫≫

COP6(気候変動枠組み条約第6回締約国会議)決裂について

ODA見直しとIT150億ドル支援「真水」について」

雇用創出にはNPO税制支援を

自治体の電子市役所支援について

松浪議員の「水かけ」登院停止処分への同情発言